写真館で撮ったお宮参りの写真が好き

みんなで行ったお宮参り。好きなのは写真館で撮った写真です

娘が生まれて2ヶ月が経った頃。近くに住む妻のおとうさん、つまり僕の義父がやってきて、お宮参りにいくべきだと力説した。月に1、2回はやってくるこのじいさんは頑固者で、妻とけんかばかりしている。このときもそうで、お宮参りに行く行かないでやりあっていた。じいさんと妻のけんかは、僕と妻のけんかよりも多いだろう。

僕はこのじいさんと馬が合う。もともと、知り合ったのは妻よりもじいさんの方が先だ。言い出したら止まらなくなって閉口することもあるが、誰にでも欠点はある。じいさんがいうには、生まれて1ヶ月目に初宮参りをするのが、ならわしだそうだ。とくに、ここ一宮は、最も社格の高い神社をあらわす地名だそうで、初宮参りをしないなんてありえないという。

妻はそういうことに頓着しない。でも、じいさんの言うことに一理あると思った僕は、妻をなだめて初宮参りに行くことにした。ちょっと遅めの初宮参りだ。本来は、父方の祖母が付き添うものだそうだが、僕の母は他界していたので、母方の祖母に付き添ってもらうことにした。じいさんの奥さんで僕の義母だ。じいさん自身は付き添う必要がないのだが、あたりまえのようについてきた。

お宮参りは思いのほか楽しかった。あれだけ嫌がっていたくせに、妻も楽しそうだった。写真も山ほど撮った。帰り道、遅い昼食のために入った洋食店で、撮った写真をみていると、また妻とじいさんが言い争いを始めていた。じいさんが洋食店の窓から見える写真館を指差して、みんなの写真を撮ろうというのである。妻は、写真はもうあるといって言い争いが始まったのだ。

こんどは義母が妻をなだめて、じいさんの提案どうり写真館に行くことになった。正直、僕も妻と同じでちょっと面倒くさいと思ったが、義母には逆らえない。それに、代金はじいさん持ちだ。追加の出産祝いだそうだ。

娘も今年で高校生だ。初宮参りから16年も経ったのが不思議に思える。あっという間だった。僕の書斎には、16年間、写真館で撮ったあの写真が飾られている。娘の成人式の写真が出来ればそれに換えるかもしれないが、それまではこれがいい。じいさんは、あいかわらずよく来る。じいさんと妻のけんかもなくなることはさなそうだ。