修復した写真に父の笑顔が写っていた

写真館で修復した写真には写っていたんです!若き日の父の笑顔が

親戚の方からは、父は厳格で一本気な人だったと聞きます。母にいわせると少し違うようです。世渡りに不器用で頑固な人だったといいます。いずれにしろ、表情が豊かで明るいといったタイプではなかったようです。

父の写真はあまり残っていません。しかも、どれも仏頂面で写っていて、笑顔の写真はありません。写真に撮られるのが嫌いだったらしく、その上、撮った写真も捨ててしまっていたようです。母が内緒で保管していた写真があるだけです。みつかると捨てようとするので、母はへそくりと一緒に箪笥の奥に隠していました。あまり良い隠し場所ではないように思うのですが、父にたいしては十分な隠し場所だったようです。

ぼろぼろの写真を見つけたのは、引越しのときでした。父の愛読書に挟んでありました。1歳くらいのわたしを抱いた父の写真だそうです。不思議なくらいぼろぼろの写真なので、わたしには父の顔かどうかわかりませんが、母がそういうのでそうなのでしょう。もちろん、わたしが覚えているわけがありません。

気になる写真です。とりあえず、写真館に持ち込んで修復できるか聞いてみると、できるということでした。でもわたしにはかなりの高額だったので、とりあえず持ち帰りました。修復には特殊な技術が必要らしく、それも手作業の細かい作業もあるので、どうしても高くなるようです。高額になるのはしかたありません。でも、やはり気になりました。後日、修復をお願いしました。

仕上がりはみごとでした。思うとおりの仕上がりでなくてもガッカリしないように、心の準備をしていたのですが、その必要はなかったようです。元通りというわけではないのでしょうが、父親の表情までよくわかります。なによりもうれしかったのは、その父の表情が笑顔だったことです。初めてみる父の笑顔です。1歳のわたしも笑っているようにみえました。